マラソンにおける戦略の1つとして、
- 後半ペースを上げるネガティブスプリット
- 前半突っ込んで入るポジティブスピリット
- 前後半で速度を変えないイーブンペース
といったペース配分をどのようにすべきかが挙げられます。
既にご存知の人もいるかもしれませんが、多くのランナーはポジティブスピリットです。
レース後半に失速しているランナーも多く、私自身も数多くの失速を経験しています。
すみません。違いました。
全てのフルマラソンで失速しています。
なので、
「後半ペースを上げて走りたい!」
「後半に抜かれ続けるレースはもうたくさん」
と思うこともしばしば… …
そこで、選択肢として挙げられるのがネガティブスプリットです。
私と同じように失速を経験し、ネガティブスプリットで走りたいと思っている人もいるハズ。
今回はそんな人のために、それがいかに困難なのかをお伝えするデータを集めてみました。
ネガティブスプリットを否定するのか!
というご意見があるかもしれませんが、否定しているわけではありません。
難しいことを伝えたいだけです。
実際の記録を見てみますと、その厳しさを理解頂けるハズ。
というわけで、実際のデータを確認していきましょう。
今回は直近実施された東京マラソン2021で検証してみました。
東京マラソン2021における傾向
まずは上位10名のデータをご覧頂きましょう。
スタート~中間地点と中間地点~フィニッシュのタイムを記載しております。
順位 | スタート~中間地点 | 中間地点~フィニッシュ | タイプ |
1 | 1:01:03 | 1:01:37 | イーブン |
2 | 1:01:03 | 1:02:10 | ポジティブ |
3 | 1:01:04 | 1:03:10 | ポジティブ |
4 | 1:02:33 | 1:02:55 | イーブン |
5 | 1:02:11 | 1:04:01 | ポジティブ |
6 | 1:02:33 | 1:04:04 | ポジティブ |
7 | 1:02:40 | 1:04:43 | ポジティブ |
8 | 1:02:41 | 1:04:50 | ポジティブ |
9 | 1:02:39 | 1:05:16 | ポジティブ |
10 | 1:02:42 | 1:05:13 | ポジティブ |
【タイプに対する考え方】
- ネガティブスプリット:ハーフ以降のタイムが前半のタイムより+1%以上短縮されている
- ポジティブスプリット:ハーフ以降のタイムが前半のタイムより+1%を超えている
- イーブンペース:ハーフ以降のタイムが前半のタイムに対して±1%以内で収まっている
- ネガティブスプリット、イーブンペースそして、ポジティブスプリットを明確に区別する資料を発見できませんでしたので、便宜上設定しております。
トップは言わずと知れたキプチョゲ選手。
こうしてみると、とんでもない記録ですね。
さて、こうしてデータを見てみますと、ポジティブスプリットが大多数です。
イーブンペースでさえ、2名だけ。
この傾向はトップ選手以外でも同様です。
続いて、サブ3ランナーのデータを見てみましょう。
スタート~中間地点 | 中間地点~フィニッシュ | タイプ | |
1:28:57 | 1:31:00 | ポジティブ | |
1:26:56 | 1:33:01 | ポジティブ | |
1:27:43 | 1:32:13 | ポジティブ | |
1:29:03 | 1:30:52 | ポジティブ | |
1:29:03 | 1:30:51 | ポジティブ | |
1:27:43 | 1:32:10 | ポジティブ | |
1:29:13 | 1:30:39 | ポジティブ | |
1:23:22 | 1:36:30 | ポジティブ | |
1:23:08 | 1:36:43 | ポジティブ | |
1:30:33 | 1:29:17 | ネガティブ | |
1:29:16 | 1:30:32 | ポジティブ |
サブ3ランナーにおきましても、10人中9人がポジティブスプリットで、1人がネガティブスピリットとなっております。
日頃練習を積み重ねているランナーでさえ、後半失速していることを考慮しますと、後半ペースアップどころか、同じペースをキープすること自体が非常に困難なわけです。
サブ4では違った傾向を確認できました
トップ選手とサブ3でポジティブスプリットが多数であったため、サブ4でも同じ傾向になるだろうと予測しましたが、違う結果でした。
スタート~中間地点 | 中間地点~フィニッシュ | タイプ |
1:59:02 | 2:00:57 | ポジティブ |
2:04:17 | 1:55:42 | ネガティブ |
1:59:57 | 2:00:02 | イーブン |
1:50:34 | 2:09:25 | ポジティブ |
2:00:45 | 1:59:13 | ネガティブ |
1:52:55 | 2:07:03 | ポジティブ |
1:57:16 | 2:02:41 | ポジティブ |
1:44:09 | 2:15:48 | ポジティブ |
2:03:59 | 1:55:58 | ネガティブ |
2:01:26 | 1:58:30 | ネガティブ |
サブ4ではネガティブスピリットが4人、イーブンペースが1人と後半失速している人が一気に減ったのです。
理由は定かではありませんが、このデータだけみると、
「ネガティブスプリットでも余裕じゃない?」
と思うかもしれません。
ですが、私はそうは思いません。
好記録を達成できる大会で有名なつくばマラソンでのサブ4のデータを検証したところ、ネガティブスプリットの割合は10人中2人という結果です。
やはり、ネガティブスプリットは少数なわけです。
私のラン友さんも、そのほとんどがポジティブスピリットで、イーブンペースで走る人が少数といったところ。
それほどネガティブスプリットで走る人は珍しいということです。
完全なる私見ですが、東京マラソンにおけるネガティブスピリットでのサブ4達成者は、元々サブ4以上の走力なのでは?と疑ってもいます。
無理してネガティブスプリットを目指さなくてもいい
無理にネガティブスプリットへ変更する必要はないと考えます。
ネガティブスプリットはペースメイクが非常に難しいとも言われているためです。
他にもデメリットとして、
- 前半に貯金を作らない分、心理的な焦りが生まれやすい
- ペース上げるタイミング、どの程度ペース上げるべきかといった情報が少ない
などが挙げられます。
そして何より、ポジティブスピリットで好記録を達成している人が大多数だからです。
つまり、ポジティブスピリットのままで記録を伸ばせることを示しています。
一度は試してみてもいいかも
とはいえ、人には適正がありますし、もしかしたらネガティブスプリットの方が合っているかもしれません。
なので、それを確認するためにも一度ネガティブスプリットでレースに臨んでみてもいいでしょう。
ネガティブスプリットの最大の魅力である
後半にランナーを抜き続ける
快感を味わえますからね。
予想を上回る記録が出たら儲けものですし、想定より遅かったとしても、自分はポジティブスピリットが合っていることの証明にもなります。
ランニングに興味が湧いてくると、一度は取り入れたくなるネガティブスピリット、チャレンジ精神豊富な方は試してみてはいかがでしょうか?
今回は以上です!
マラソンのペースを確認する際に使える表です。
目標タイムと達成するためのペースを記載していますので、よかったら活用して下さい。
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