ここ数年ガンガン記録更新が進んでいる世界の長距離界。
最も有名なのは、フルマラソンのエリウド・キプチョゲ選手ではないでしょうか?
30代後半になっても自己ベストを更新し続ける姿はまさに圧巻。
非公認ではありますが、フルマラソン2時間切りも達成しました。
キプチョゲ選手に注目が集まりがちですが、他の選手も続々と記録を更新。
フルマラソンだけではなく、ハーフマラソンでもその傾向が見られます。
大きな要因として、
ナイキが初めてこの世に出した厚底カーボンシューズ
が挙げられます。
高いクッション性により足への衝撃が抑えられるため、フルマラソンやハーフマラソンで特に力を発揮するというもの。
その結果タイムが向上しているのでしょう。
※シューズの力だけではなく、選手のたゆまぬ努力も踏まえての結果ということも付け加えさせて頂きます。
その一方、5000mや1500mでは記録が更新されていても、フルマラソンやハーフマラソンほど多くの選手が記録を更新しているわけではありません。
1500mや5000mの場合、スパイクがメインであり、厚底カーボンのようなグッズによる劇的なサポート得られたわけではないことが要因として考えられます。
そんな世界の長距離界の現状を記録ランキングトップ10に沿って紹介します!
WORLD ATHLETICSの情報をまとめた内容となっていますので、元の情報を直接チェックしたい場合はこちらのURLをクリックして下さい。
フルマラソン男子
まずはフルマラソン男子の部です。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
2:01:09 | EliudEliud KIPCHOGE KIPCHOGE | 05 NOV 1984 | 25 SEP 2022 |
2:01:41 | Kenenisa BEKELE | 13 JUN 1982 | 29 SEP 2019 |
2:01:53 | Kelvin KIPTUM | 02 DEC 1999 | 04 DEC 2022 |
2:02:48 | Birhanu LEGESE | 11 SEP 1994 | 29 SEP 2019 |
2:02:55 | Mosinet GEREMEW | 12 FEB 1992 | 28 APR 2019 |
2:02:57 | Dennis KIMETTO | 22 APR 1984 | 28 SEP 2014 |
2:02:57 | Titus EKIRU | 02 JAN 1992 | 16 MAY 2021 |
2:03:00 | Evans CHEBET | 10 NOV 1988 | 06 DEC 2020 |
2:03:00 | Gabriel Gerald GEAY | 10 SEP 1996 | 04 DEC 2022 |
2:03:04 | Lawrence CHERONO | 07 AUG 1988 | 06 DEC 2020 |
Dennis KIMETTO選手のみ2014年に達成した記録ですが、それ以外は2019年以降に記録されたものです。
2017年にヴェイパーフライが発売されて以降、続々と記録更新されております。
10位でも2時間3分4秒という状況。
近い将来、2分台、1分台でないとトップ10に入れないというレベルになりそうです。
ご存知の人もいるかもしれませんが、現在の長距離界はアフリカ勢が非常に強く、世界の記録ランキングトップ100の90%以上を占めております。
大会のトップ集団を見れば一目瞭然ですが、ランキング上でも同様の結果を確認可能です。
ちなみに、キプチョゲ選手の記録を100mで換算すると、17.227秒。
体感すると理解できますが、とんでもないスピードです。
このスピードで42.195㎞を走り抜けるわけですから、やはり世界のトップは凄すぎます。
ハーフマラソン男子
続いてハーフマラソン男子です。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
57:31 | Jacob KIPLIMO | 14 NOV 2000 | 21 NOV 2021 |
57:32 | Kibiwott KANDIE | 20 JUN 1996 | 06 DEC 2020 |
57:49 | Rhonex KIPRUTO | 12 OCT 1999 | 06 DEC 2020 |
57:59 | Alexander Mutiso MUNYAO | 10 SEP 1996 | 06 DEC 2020 |
58:01 | Geoffrey KAMWOROR | 22 NOV 1992 | 15 SEP 2019 |
58:07 | Abel KIPCHUMBA | 03 FEB 1994 | 24 OCT 2021 |
58:11 | Philemon KIPLIMO | 10 OCT 1998 | 06 DEC 2020 |
58:23 | Zersenay TADESE | 01 JAN 1982 | 21 MAR 2010 |
58:26 | Daniel MATEIKO | 04 AUG 1998 | 24 OCT 2021 |
58:28 | Kennedy KIMUTAI | 03 JUN 1999 | 24 OCT 2021 |
当たり前のように1時間を切っています。
フルマラソン同様に2019年以降の記録が目立つ状況。
そして、フルマラソンと違って20代の選手が多数を占めております。
ちなみに、WORLD ATHLETICSのランキング表を最後までチェックしたところ、1時間5分以内であれば世界ランキングに入れることが判明しました!
現実的ではありません。
順位は9232位。
もし1時間5分以内の記録を持っているのであれば、是非チェックしてみて下さい!
「俺世界ランキング入りしてるぞ!」
とマウントとれます。
5000m男子
一方、5000mは違った傾向です。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
12:35.36 | Joshua CHEPTEGEI | 12 SEP 1996 | 14 AUG 2020 |
12:37.35 | Kenenisa BEKELE | 13 JUN 1982 | 31 MAY 2004 |
12:39.36 | Haile GEBRSELASSIE | 18 APR 1973 | 13 JUN 1998 |
12:39.74 | Daniel KOMEN | 17 MAY 1976 | 22 AUG 1997 |
12:43.02 | Selemon BAREGA | 20 JAN 2000 | 31 AUG 2018 |
12:45.71 | Jacob KROP | 04 JUN 2001 | 02 SEP 2022 |
12:45.82 | Hagos GEBRHIWET | 11 MAY 1994 | 31 AUG 2018 |
12:46.33 | Nicholas KIPKORIR | 29 SEP 1998 | 09 JUN 2022 |
12:46.53 | Eliud KIPCHOGE | 05 NOV 1984 | 02 JUL 2004 |
12:46.79 | Yomif KEJELCHA | 01 AUG 1997 | 31 AUG 2018 |
2000年以前の記録が2件、2000年~2010年の間も2件と、10年以上前の記録が4件残っています。
おそらくシューズによる影響有無がこの差を生み出しているものと考えます。
ちなみに、9位にランクインしているのはフルマラソンの世界記録保持者であるキプチョゲ選手です。
陸上マニアの方であればご存知かもしれませんが、元々はトラックの長距離をメインに活躍しておりました。
それにしても2004年の記録を達成してから、今も現役とは驚愕の一言です。
1500m男子
5000mと同様の傾向です。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
3:26.00 | Hicham EL GUERROUJ | 14 SEP 1974 | 14 JUL 1998 |
3:26.34 | Bernard LAGAT | 12 DEC 1974 | 24 AUG 2001 |
3:26.69 | Asbel KIPROP | 30 JUN 1989 | 17 JUL 2015 |
3:27.37 | Noureddine MORCELI | 28 FEB 1970 | 12 JUL 1995 |
3:27.64 | Silas KIPLAGAT | 20 AUG 1989 | 18 JUL 2014 |
3:28.12 | Noah NGENY | 02 NOV 1978 | 11 AUG 2000 |
3:28.28 | Timothy CHERUIYOT | 20 NOV 1995 | 09 JUL 2021 |
3:28.32 | Jakob INGEBRIGTSEN | 19 SEP 2000 | 07 AUG 2021 |
3:28.75 | Taoufik MAKHLOUFI | 29 APR 1988 | 17 JUL 2015 |
3:28.76 | Mohamed KATIR | 17 FEB 1998 | 09 JUL 2021 |
大きな違いは世界記録。
なんと1998年に達成され、20年以上破られていません。
更に、トップ10の内4つの記録が20年以上前に達成されたものです。
それだけ当時の記録が凄かったということでしょう。
ちなみに、世界記録保持者であるHicham EL GUERROUJ選手の記録を100m換算すると、13.73秒。
100mもついていけません。
フルマラソン女子
お次はフルマラソン女子について紹介します。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
2:14:04 | Brigid KOSGEI | 20 FEB 1994 | 13 OCT 2019 |
2:14:18 | Ruth CHEPNGETICH | 08 AUG 1994 | 09 OCT 2022 |
2:14:58 | Amane Beriso SHANKULE | 13 OCT 1991 | 04 DEC 2022 |
2:15:25 | Paula RADCLIFFE | 17 DEC 1973 | 13 APR 2003 |
2:15:37 | Tigist ASSEFA | 03 DEC 1996 | 25 SEP 2022 |
2:16:49 | Letesenbet GIDEY | 20 MAR 1998 | 04 DEC 2022 |
2:17:01 | Mary Jepkosgei KEITANY | 18 JAN 1982 | 23 APR 2017 |
2:17:16 | Peres JEPCHIRCHIR | 27 SEP 1993 | 06 DEC 2020 |
2:17:20 | Almaz AYANA | 21 NOV 1991 | 16 OCT 2022 |
2:17:23 | Yalemzerf YEHUALAW | 03 AUG 1999 | 24 APR 2022 |
2022年3月に開催された東京マラソンに出場したコスゲイ選手を筆頭に、最近活躍している選手が名を連ねております。
2022年に達成された記録が6つランクインしていることも、女子フルマラソン全体がレベルアップしていることの証でしょう。
10年以上前に達成された記録で唯一残っているのが、ポーラ・ラドクリフ選手の2時間15分25秒。
当時の世界記録を一気に更新したことで今も記憶に残っていますが、まだまだ世界記録ランキングトップ10から外れることはなさそうです。
ハーフマラソン女子
ハーフマラソン女子の結果は以下のようになっております。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
1:02:52 | Letesenbet GIDEY | 20 MAR 1998 | 24 OCT 2021 |
1:03:51 | Yalemzerf YEHUALAW | 03 AUG 1999 | 24 OCT 2021 |
1:04:02 | Ruth CHEPNGETICH | 08 AUG 1994 | 04 APR 2021 |
1:04:14 | Girmawit GEBRZIHAIR | 21 NOV 2001 | 19 FEB 2022 |
1:04:22 | Hellen OBIRI | 13 DEC 1989 | 19 FEB 2022 |
1:04:31 | Ababel YESHANEH | 22 JUL 1991 | 21 FEB 2020 |
1:04:36 | Sheila CHEPKIRUI | 27 DEC 1990 | 19 FEB 2022 |
1:04:49 | Brigid KOSGEI | 20 FEB 1994 | 21 FEB 2020 |
1:04:51 | Joyciline JEPKOSGEI | 08 DEC 1993 | 22 OCT 2017 |
1:04:52 | Fancy CHEMUTAI | 20 MAR 1995 | 09 FEB 2018 |
フルマラソン同様ここ数年の間に達成した記録が目立ちます。
2020年以前の記録は2つしかなく、勢いを見る限り、近い将来トップ10の全てが2020年以降になるでしょう。
ちなみに、フルマラソンの記録保持者もランクインされており、コスゲイ選手やチェプンゲティッチ選手などハーフマラソンでも素晴らしい記録を残しています。
5000m女子
5000m男子と同様の傾向が見られます。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
14:06.62 | Letesenbet GIDEY | 20 MAR 1998 | 07 OCT 2020 |
14:11.15 | Tirunesh DIBABA | 01 OCT 1985 | 06 JUN 2008 |
14:12.59 | Almaz AYANA | 21 NOV 1991 | 02 JUN 2016 |
14:12.88 | Meseret DEFAR | 19 NOV 1983 | 22 JUL 2008 |
14:12.98 | Ejgayehu TAYE | 10 FEB 2000 | 27 MAY 2022 |
14:13.32 | Gudaf TSEGAY | 23 JUN 1997 | 08 JUN 2021 |
14:15.24 | Senbere TEFERI | 03 MAY 1995 | 08 JUN 2021 |
14:15.41 | Genzebe DIBABA | 08 FEB 1991 | 04 JUL 2015 |
14:18.37 | Hellen OBIRI | 13 DEC 1989 | 08 JUN 2017 |
14:20.68 | Agnes Jebet TIROP | 23 OCT 1995 | 21 JUL 2019 |
2008年の記録が2つランクインしており、それ以外についても2020年以前の記録がチラホラ。
現在世界ランキング2位の記録も10年以上破られていませんでした。
ですが、そんな記録を破った選手がいます。
その名もギデイ選手。
英語表記なので、選手名まで細かく見ている人は少ないかもしれませんが、「Letesenbet GIDEY」をフルマラソンの記録からチェックしてみて下さい。
フルマラソンは6位、ハーフマラソン、5000mでは世界記録保持者という超人です。
今後の世界陸上やオリンピックで注目して欲しいランナーの一人といえます。
1500m女子
最後に1500m女子を紹介します。
記録 | 選手名 | 生年月日 | 記録達成日 |
3:50.07 | Genzebe DIBABA | 08 FEB 1991 | 17 JUL 2015 |
3:50.37 | Faith KIPYEGON | 10 JAN 1994 | 10 AUG 2022 |
3:50.46 | Yunxia QU | 25 DEC 1972 | 11 SEP 1993 |
3:50.98 | Jiang BO | 13 MAR 1977 | 18 OCT 1997 |
3:51.34 | Yinglai LANG | 22 AUG 1979 | 18 OCT 1997 |
3:51.92 | Junxia WANG | 09 JAN 1973 | 11 SEP 1993 |
3:51.95 | Sifan HASSAN | 01 JAN 1993 | 05 OCT 2019 |
3:52.47 | Tatyana KAZANKINA | 17 DEC 1951 | 13 AUG 1980 |
3:53.91 | Lili YIN | 11 NOV 1979 | 18 OCT 1997 |
3:53.96 | Paula IVAN | 20 JUL 1963 | 01 OCT 1988 |
20年以上前の記録が7つも残っています。
特に注目すべきは中国選手が活躍していた時代ということ。
この点が他種目の傾向とは異なります。
ただ、これら中国選手の記録につきましてはドーピング疑惑があり、真相は未だに解明されておりません。
まとめ
予想通り、ランキングのほぼ全てをアフリカ勢が占める結果となっております。
今後もこの傾向が続くと思われますし、もしかしたらトップ10全てがアフリカ勢になるかもしれません。
ただ、全てがアフリカ勢だと面白みに欠けますので、アジアや欧米の選手も頑張って欲しいですね。
特に日本人選手が割って入る姿を見たい!
そんな感想を述べさせていただきつつ、今回は以上です。
日本の長距離界の現状について知りたい方はこちらの記事をご覧下さい。
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